SPECIAL FEATURE
Special feature @ Shiretoko
知床のトコ、モノ、ヒトなどなど、いろいろな出来事を発信します。
coffee × photograph = office albireo
前回の記事で私のお気に入りのカフェ「coffee albireo」を紹介しましたが、マスターの本業は動物写真家であること、数年前まではサラリーマンとして関東で働いていたこと、更に今は東京と知床で二拠点生活をされていることなど…
驚くような日々を送っているcoffee albireoの伊藤ご夫妻に突撃してきました!
カフェの店内には私たちが普段見られないけれど見たかった、野生動物がのびのびしている姿や、世界自然遺産というとても特別な場所としての知床を実感させてくれる写真が飾られています。撮影者はカフェのマスターであり、動物写真家として活動している伊藤彰浩さん。以前は関東で精密機械メーカーの開発者として働いており、もともと趣味で動物(初めは競走馬の写真だった⁉)や天体の撮影をしていたそうです。
「これまでの人生で得たことを写真を通じて世の中に伝えたい。」
そんな想いから54歳の時に写真家として新たな人生をスタートしました。
マスターの決断をいつも支えているのが、妻のかおりさん。結婚した頃から、50歳を過ぎたら会社をやめると聞いていたものの、何をするかは全くわからなかったそうです。夫の決断にかおりさんは、彼の多彩な才能と確かな写真の技術を信じ、自身がoffice albireoの代表となり独立。現在はマネージャー、撮影アシスタント、営業や経理など、様々なことをされています。
野生動物との出会いを求めて日本各地を旅してきたお二人。なぜ「知床」で「カフェ」をオープンしたのでしょう?
それは人との「縁」が繋いだものでした。
動物写真を撮るために知床に通い続けるうちに、ウトロで落ち着いて美味しい珈琲が飲める場所が欲しいと思う様になり、ならば自分達で作ろうとなったそうです。検討を進めていくうちに、地元で知り合った方達から、店の大家さんや、網走の腕の良い焙煎士を紹介して頂き、今の住まいも見つかるなど、お二人にとって知床がどんどん心地よい場所になっていったそうです。
「知床に知り合いのカフェがあるって良くないですか?」
ここに自分達が居ることで、遠く離れた場所で暮らす人達と知床との間にも「縁」が繋がればと、2019年6月、知床にカフェをオープンしたそうです。
更に2020年の秋、伊藤夫妻は「世界遺産知床の自然と人とヒグマの暮らし(写真 伊藤彰浩、文 伊藤かおり)」という写真絵本を刊行しました。普段私たちが目にすることのできないヒグマの暮らしと、人とヒグマとの距離の問題が分かりやすく紹介されており、子どもだけでなく大人にも読んでほしい一冊です。この本に込めた「絵本を読んだ全国の子供達が大人になった時、知床をはじめとした豊かな自然環境を守るために行動を起こしてくれるかもしれない。」というマスターの強い想いを教えていただきました。
出会いを大切にされている伊藤夫妻だからこそ今回のインタビューができました。インタビューを通して記事には書ききれないお二人のお話を聞くことができて、さらにalbireoが大好きになりました。この記事が、知床やalbireoへの興味のきっかけになっていただければ嬉しいです。
直接知床に来るのは難しくても、絵本を通じて知床を感じて知ることができます。そしていつか知床に訪れていただけたら幸いです。
<office albireo>
伊藤 彰浩/1964年生まれ、東京都出身。2005年から日本の野生動物の撮影を中心に活動を広げ現在に至る。coffee albireoのマスター。
伊藤 かおり/1975年生まれ、神奈川県出身。office albireoの代表としてPhotograph albireoとcoffee albireo を運営。
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文章/フロント担当 高塚なつみ
写真提供/photograph albireo